歯ぎしり
歯ぎしり
「歯ぎしり」「噛みしめ」は決して特異なことではありません。96%の人がしているという報告さえあります。誰でもしている一種のくせと考えてよいと思います。ですから、特に問題を起こさない限り放置してもかまわないのですが、ときには次のような問題を引き起こします。
1. 歯への障害 : 歯がしみる、歯の磨耗・破折
2. 歯周組織への障害: 歯肉炎、歯周炎
3. 顎関節への障害 : 顎関節痛、開口障害
4. 全身への障害 : 頭痛、肩こり、腕のしびれなど
このくせは、眠っているときや何かに夢中になっているときに起こるので、気づきにくく治すのにもやっかいなものですが、あなたが本気になって治す気になれば意外と簡単に治っていくものです。
☆ まず、日中の気づきからはじめます。噛みしめるのをうまく気づくというのは難しい
ものですが、仕事などに夢中になっているとき、ふと気がつくとしっかり噛みしめて
いたり舌を上顎に吸いつけていたりします。そんなときは、肩を上下させ首から上の
力を抜いて頬の力を抜き、歯を噛み合わせないようにしてから再び仕事に向かってく
ださい。初めのうちは口を半開きにすると良いでしょう。
☆ 問題は夜眠っているときです。眠っているときのことなどコントロールできないと思
っている人が多いと思います。しかし、「明日の朝4時に起きなければいけない。」
と思って寝ると、不思議とその時間に目がさめるという経験をしたことはありません
か。こんな難しいことができるのです。ましてや、上下の歯を合わせないようにして
リラックスして眠るなどということは、「その気」にさえなれば簡単にできるもので
す。成功の秘訣はあなたがどれだけ「その気」になるかにかかっているのです。
① 枕を低くしましょう。後頭部の一番出っ張ったところより首の付け根近くに低い枕を
するようにしましょう。
② 布団に入ったら何も考えないようにしましょう。
③ 思いきり噛みしめてください。数秒後にふっと顎の力をを抜いてください。わずかに
口が開くと思います。次に大きな口をあいてから力を抜いてください。たぶん、同じ
位置に顎が閉じると思います。このとき、力を入れるときに息を吸って、脱力すると
きに息を吐くように、呼吸を合わせてください。
④ 次に、肩に思いきり力を入れて数秒後に力を抜きます。このときも呼吸を合わせま
す。同じように、胸、腹、足の脱力をします。
⑤ 自己暗示
呼吸に意識を傾け、息を吐くときに脱力するのを繰り返しながら、手足やお腹が温か
くなってくるのを感じてください。このとき、次のような言葉を唱えてください。
「リラックス、リラックス」、「唇は閉じて、歯は離す」。これを毎日20回声に出し
て言います。声に出す、出さないで効果が違ってきます。自己暗示がうまくいってる
と、夜中歯ぎしりをすると目を覚ますようになります。さらにうまくいくと、今度は
朝まで歯ぎしりをしないで眠ることができるようになります。
さあ、「その気」になってがんばりましょう。
* 自己暗示のほかに、マウスピース(スプリント)を入れる方法があります。マウスピ
ースにより歯に加わる力を軽減します。
当院ではマウスピース療法を勧めています ( 保険適用 )